恋愛境界線


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「え、倒れた!?」

山西先生の言葉に、思わず大きな声が出てしまう。

「そうなんですよ。数学の試験が始まった20分後くらいですかね、急に倒れて。びっくりしましたよ」

職員室で山西先生はブルーのマグカップに入ったコーヒーを嗜みながら、話を続ける。

「保健室に運んだんですが、保健医の田嶋先生の判断で救急車で病院に。
どうやら栄養失調と過労らしいですよ。
勉強のしすぎじゃないですか?」

「だから救急車がきていたんですね…」



栄養失調と過労って、そんなに追い詰めてしまっていたのだろうか。

いますぐ仕事を全部放り出して、病院に飛んでいきたい。
抱き締めたい。
フラれたとかは今は関係ない!

「あの、今日早退しても…」

僕が控えめに切り出すと、山西先生は険しい形相で僕を見る。

「何言ってるんですか!
今週はテスト週間、教師の私たちは地獄の採点業務があるんですよ!
クラスの生徒が倒れて、心配なのはわかりますが土曜までは忙しいかと」

「うっ…」

教師にとって、テスト期間は忙しい週なので帰るのも遅くなるし日曜まで無理か…
< 96 / 230 >

この作品をシェア

pagetop