恋愛境界線
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「え、倒れた!?」
山西先生の言葉に、思わず大きな声が出てしまう。
「そうなんですよ。数学の試験が始まった20分後くらいですかね、急に倒れて。びっくりしましたよ」
職員室で山西先生はブルーのマグカップに入ったコーヒーを嗜みながら、話を続ける。
「保健室に運んだんですが、保健医の田嶋先生の判断で救急車で病院に。
どうやら栄養失調と過労らしいですよ。
勉強のしすぎじゃないですか?」
「だから救急車がきていたんですね…」
栄養失調と過労って、そんなに追い詰めてしまっていたのだろうか。
いますぐ仕事を全部放り出して、病院に飛んでいきたい。
抱き締めたい。
フラれたとかは今は関係ない!
「あの、今日早退しても…」
僕が控えめに切り出すと、山西先生は険しい形相で僕を見る。
「何言ってるんですか!
今週はテスト週間、教師の私たちは地獄の採点業務があるんですよ!
クラスの生徒が倒れて、心配なのはわかりますが土曜までは忙しいかと」
「うっ…」
教師にとって、テスト期間は忙しい週なので帰るのも遅くなるし日曜まで無理か…