天使の翼
『むかしむかし、あるところに1人の少女がいました。
少女は、生まれつき羽が片っぽしかありませんでした。』
「おはよー」
「おっはー!」
2年A組の教室内。
挨拶が飛び交う中、1人座って書いている私。
「あっ!おはよ~!美姫!」
「おはようございます。美姫様!」
みんなから親しまれるクラスメイトの榎本 美姫が教室に入って来た。
「おはよう。みんな。」
そして、取り巻き達を連れて私のもとへ向かってくる。
「ねぇ、何書いてんの?」
取り巻きの1人が私のものを無理やり奪う。
「や、やめ・・・・・・!」
「へー。ねぇ、美姫!コイツ小説書いてるよー。」
「えー。ウソー!」
「マジで!?見せて見せて!」
面白がって回し読みしていく美姫達。
「プッ!ちょっと何これ~。」
「こんなの書いてるとかマジ悲惨なんだけどー。」
「しかも、全然上手くねーし!」
「ウチの方が上手く書けるんだけどー。」
甲高い笑い声。
バカにするような目。
私は、唇を噛み締めながらずっと耐えていた。
< 1 / 4 >