天使の翼
『ある日、少女は少年に一番高い丘まで連れて来られました。すると、そこにはたくさんの仲間がいました。』
「ねー。ちょっと来てー。」
榎本さんが呼んでる・・・・・・。
またなんかされるのかな。
私は、仕方なく榎本さんの所へついて行った。
階段を上り、使用されていない屋上まで連れて来られた。
(ここで何されるんだろ・・・・・・。しかも屋上って。)
そこには、梶原君を含む何人かのクラスメイトもいた。
榎本さんは、私を見ると衝撃的な発言をした。
「ねぇ、そこから飛び降りてよ。」
(え?飛び降りるって、屋上だよ。ここ。)
「え・・・・・・?」
「え?じゃねーよ!早く飛び降りなよ。あたしら前からアンタにイライラしてたんだよね。」
「だからアンタを呼び出して死んでもらおうってわけ。」
そんな・・・・・・。
狂ってる。この人達は、狂ってる。
『1人の仲間がこう言いました。
「君飛べるようになりたいんだろ?」
「そうだけど・・・・・・。」
「それなら私たちが手伝ってあげるよ!」
暖かい眼差し。応援してくれる仲間達。
その時、少女の目から涙がこぼれ落ちました。』
「やめろよ!!そんなことしたらどうなるか・・・・・・!」
梶原君が止めようとする。
でも、その言葉は榎本さんによって跳ね返されてしまう。
「はぁ?何言ってんの?梶原。そんなのバレやしないって。パパに言ってもみ消してやるから。そんなら、アンタが飛び降りたら?」
(え・・・・・・。梶原君が?そんなのヤダ!)
「私が飛び降ります!だから梶原君は・・・・・・!」
「ふーん。じゃあ、アンタでいいや。」
私は、柵の所に行きよじ登る。
ブワッと吹く風が冷たい。
下は、コンクリート。
落ちれば怪我では済まないかもしれない。
「早く〜!」
「あたし達が見ててやるからさ!」
「早く飛べ〜!」
聞こえてくる「飛べ飛べコール」。
もう、終わりだ。
これで、榎本さん達にからかわれることもないだろう。
ただ、私の夢が無くなっちゃうのは寂しいけど。
大切な人を守れるのなら、本望だ。
私は、決心して柵から手を離した。
「〇〇〇さん!!」
梶原君の声が遠く聞こえる。
あれ?落ちる時って長いんだ。
意外。
次生まれ変わったら、どんな風になるんだろな。
その時、ドンッという痛みが全身に走った。
だんだんと意識が遠のいていく。
薄らと見える流れた血。
遠のいていく瞬間、天使の羽が見えたような気がした。
『みんなの応援のおかげで少女は、思いました。
「絶対この空を飛んでみせる!」と。
「ありがとう。みんな!私頑張る!」
「頑張ってー!」
「大丈夫!」
ついに勇気を振り絞り、少女は飛ぶことが出来ました。
すると突然、大きな羽が生え少女は空高く飛びました。
「キャーッ!」と、悲鳴にも似た声が聞こえます。
おめでとう。ついに空を飛べたんだね。
夢が叶って良かったね。』