私が髪を切った理由
これからまだ20分はバスに乗らなくてはいけない。
それでもバスは容赦なく右に左に揺れる。

「大丈夫ですか?立花さん」

俺の異変にやっと気づいた瀬戸。
その声にユイも気づいた様子。

「あんた酔い止めは?」
「………飲んだ…」

死にそうな声で返事する。
油断すると出てしまいそうだから必死に抑え込む。

「窓、開けれればいいんですけど…」
「ダメだよ、ここの窓開けれない」
「あと少し、頑張れますか?」

俺は頷く。
それが精一杯だった。
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