三坂くんはまちがってる
蒸し返されたその話に、冷や汗が出る。
あのときうっかり本音が零れてしまったのは珍しく動揺していたから。私らしくもない。
どうしよう。なんて返事しよう。
「…かんちがい、だったんですかね〜!」
「そうだよ。しおりちゃんほんとにいい子だから」
「草薙さんめちゃくちゃ褒めるじゃないですか」
「当然。おれ、女の子の中でも
しおりちゃんが一番一緒にいて楽しいよ」
瞳がバッチリと私を捉える。
こんなイケメンにそんなこと言われるなんて、と思わず胸が弾む。
サラリと女の子が喜ぶ言葉を言えてしまうのも、大人の余裕というものからなんだろうな。
「う、嬉しいです。私も楽しいです!」
「じゃあ、俺と今度またご飯行ってくれる?」
「え!はい!もちろんですよ!」
「よし。じゃあまた日にち決めよ」
立ち上がった草薙さんにつられ私も立つ。
とりあえず話が逸れてくれてよかった。
そしてまた草薙さんとご飯に行けることにも嬉しさが込上げる。
だって奢りだよ。タダだよ。金欠貧乏ガールにとってタダ飯食べさせてもらえるほど幸せなことはない。
ウキウキで草薙さんとバイバイすると、
私は抹茶アイスを頬張りながら家に帰った。