教えて、世界。【短編】
 僕の名前は篠崎誓(しのざきちかい)。

今年高校入学したばかりの16歳。

色の見え方に問題があると知ったのが小4の時だから、あれから6年の月日が流れた。

普通に生活している分には特別不便を感じることもなかったけれど、だからといって不自由さが全く無いわけじゃない。

僕の見え方の特徴としては赤みが強く出てしまうのでどうしてもグリーン系の色が苦手だったりする。

簡単に言うと真夏の草木が枯れたように見えるんだ。

だから昔から絵を描く時は想像で色を塗ることもあったりした。

草木の色は緑。僕の知っている情報から【緑】と書かれた絵の具を使い、後は濃くしたいのか薄くしたいのかは自分で適当に。

こんな風に自分で対処出来る事もあるけれどやっぱりちょっとした事で戸惑ったりもする。

例えば友達と雑誌なんか見ていてこのグリーンのシャツ良いよね。って話になっても僕には少し茶色がかって見える。

つい曖昧な返事になってしまう。

するとほんの少しだけ微妙な空気が流れたり。

ある時、先生に美術室から淡いピンク色した花瓶を持ってきてと言われて行けば似たような花瓶がいくつかあって、一体どれが淡いピンク色した花瓶なのか分からなくて結局、適当に持ってったら間違っててちゃんと話を聞いてなかったなって先生に叱られたり。

まぁ、そのほとんどが取るに足らない事だけどそのほんの少しの取るに足らない事で僕はいつも思い知らされる。

やっぱり僕は不良品なんだなと。

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