あなたの青 わたしのピンク
東京に出てしまっててから

事実ハルはとても綺麗になった

彼には話したことないけれど

愛している人だからという

そんなのを抜きにしても

久しぶりに会うたび

いつもどきりとしてしまう

そしてそれは離れて暮らす私にとって

判っていても必要のない心配を連れてくる

不安になりそうな気持ちを

ハルを少しからかうことで

切り替える

「かっこいいのに。別人みたい。」

そう言ってハルの顔をみた

ほんとだよハル

ホントはね、理由をつけて

いつまでもこうして貴方の隣りであなたを見ていたかった


「はずかしいよ。愛果行こう。」

そう言って私の手を引っ張ろうとする

「そんなことないよ、ハルすごくカッコいいよ。」

そう言ってサングラスの中にある

ハルの瞳を覗いた

ハルは何も言わずに私を見つめる

もう少しこのポスターをじっくりみたい

ハルの手を握り返し移動しようとするハルを

引き止める

少しだけこの幸せをもう少しだけ味わいたい

あなたの隣りにいる時間

二人だけの大切な時間

目でハルにお願いと合図をする

ハルは少し困った顔をしたが

それ以上、動かなかった

そう、私はこうしてハルの隣りでこのポスターをじっくり見たかった

貴方の気配を少しでも長く感じたかった

その香り

気配

次に会うまでの私へのハルの貯金

少しそうしてみていて気がつく

このポスターの色

この青色がハルのイメージにとても良く似合っているそう思った

どこかさっきみた空の青にとてもよく似てる

「この色が綺麗。この青色ハルによく似合うよ。」

そう彼に言うと

ハルは何も言わずとても嬉しそうな笑顔になった

「カメラマンとポスターの監修をしてくれた

事務所の責任者の人と選んだんだ

最近出たばかりのフィルターなんだ。」

そう言ってハルも一緒にポスターを見上げた

「事務所の人がツアーするなら

ポスター作ろうっていうから

撮影したんだ。

俺自分の顔鏡でしかみたことないし

まるで別人みたいにカッコいいから

ここを通る時はいつもサングラスして

さっさと通過してる。」

そう言って笑った

「でも、愛果がそんなに気に入ってくれたら

作って良かったよ。なんか今日は俺も満足。」

そう言って

ハルは私の手を握る手にぎゅっと力を込めた

そして肩を優しく抱いてくれた

「こんなこともできたし。」

ハルの息が耳に届く

くすぐったくて甘い気持ちに

胸がじんわりとした

わたしもあなたに抱かれてとても幸せだよ

わたしは声に出さず心の中で

そう呟いた

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