あなたの青 わたしのピンク
「バスで移動すると景色が良くみれて

楽しいよ。」

バスを待っている時

一緒に並んだ女性がそう教えてくれた

まさにそう

新宿や東京駅周辺と違い

銀座を通り日本橋を抜けての

浅草への道は

個性的なお店が多かった

窓からそれらを眺めながら

今まで訪れた場所を

確認しているだけでも

とても楽しかった

また、地下鉄からでは気がつかない場所に

こんな店があるのかと

気がつくことも多くて

目的地へ到着するのがあっという間に感じられたほどだった


ガイドブックで確認した浅草橋の停留所で降りると

人の流れから

バスが去った方角が浅草寺らしかった

その日は近くの隅田公園で

流鏑馬の神事が行われるらしく

興味があったので

隅田公園に向かって歩き始めた

桜は終わってしまったようだったけど

花の季節の始まりのような日だった

あちこちの街路樹の花や木の葉が一斉に

新しい芽を出し

春の眩しい光にその姿を輝かせている

それをみながら

公園を目指して歩くのはとても楽しかった

隅田公園は隅田川の両側にある公園なので

河を目指してあるくと

すぐに大きな橋のたもとにでた

川に目を向けると

川の向こうに

大きくそびえたつスカイツリーが

太陽の光を受けて光輝いて立っていた

私は人の通りの邪魔にならない所に立つと

スカイツリーを写メってハルへと

送信する

そして橋を渡り始めた

春の日差しを映してキラキラ輝く水面

行き交う人は地元の人が多く

自転車に乗って走る手には

コンビニの袋を下げていたり

年配の女性がカートを押して

散歩をしている

その間をジャージやTシャツ姿のランナーが

駆け抜けていく

その光景はまるで名古屋の

自分が住む町と同じだった

ここなら大丈夫

わたしが住むならここがいい

愛果は素直にそう思ったのだった
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