あなたの青 わたしのピンク
けれど

その日の電話は

最悪そのものだった

愛果は機嫌がすこぶる悪かった

多分例の写真を見た後だったのだろう

愛果は電話にでると

なにあれと喚きだした

「ハルの馬鹿!」

俺はなだめる様に愛果に何度も説明をする

彼女はラジオのパーソナリティーで

先日一緒に仕事をした人だという事

写真は二人で映っているが

彼女のマネさんが記念にと撮った写真で

マネージャーに言われ仕方なく近寄って写真を撮ったこと

ライブの後は愛果とラインで話をしてそのまま

寝てしまったこと

「愛果ごめん。」

するとようやく普段の愛果にもどって話をするのだが

暫くすると

また、不安になるらしく彼女の事を知りたがった


こんな時

一緒にいたなら

何も言わず彼女を抱きしめるのに

そして彼女が落ち着くまで

ずっと抱きしめて離さないのに

顔や姿が見えない分

お互いどうしてもいやな想像ばかりしてしまう

俺だってそうだ

愛果は女性なのだ尚更で当然だとそう思う

暫く愛果が「浮気禁止だから。」とか

いい子にしててとか言うのを否定することなく聞いていた

今の俺にはそれしかできなかったから

このまま

電話を終えるなんてできなかった

とりとめのない話を続けていると

そのうち愛果が突然

「もういい、疑うの止めた。」そう言った

そして

「私そういうの嫌い。他の話しよ。」そう言って笑ったのだった
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