あなたの青 わたしのピンク
「そなんだ。」

俺は相づちをうつって様子をみた。

懲りていないのかな彼女

彼女の真意を伺う

「行列をすり抜けてここに入る時悲鳴が上がったの。

良かった、パーソナリティって仕事してて。

こうして好きな人に会いに来れる。」

そう聞いた時

俺の心は少し傷んだ

そして愛果を思った

彼女がすり抜けたであろう行列に並ぶ

愛果の姿を

彼女が立ち上がり

俺の隣りに並んで立とうとしたので

彼女には気づかれぬ様水分補給する振りをして

自分の飲み物を取りにいく

不快に思われない様話かけた

「来てくれてありがとう。」

そう話すのが精一杯だった

今、ここにいて欲しいのは

彼女じゃない愛果だ

勿論少しでも一緒にいたくて

彼女が上京すると聞いた時

彼女を誘った

ツアーに出る前に少しでも一緒にいたかった

「私はハルのファンだから皆と並びたいの。」

きっと

愛果は前回の炎上を気にして遠慮をしたのだ

以外な反応が少し気に入らなかったのか

一瞬、舌打ちする様な表情が彼女の顔に浮かんだ

その顔を見なかった振りをするため

今度は俺が視線をわざとメンバーに移す

皆は相変わらず俺達に知らん顔で

本番前のチェックを続けていた

部屋を出ないでいてくれているのは

多分何かあった時フォローする為だ
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