あなたの青 わたしのピンク
「ライブが終わった後、打ち上げあるんでしょ私も行ってもいいかな。」

そう言って彼女は打ち上げ場所を俺に訊ねた

愛果に歌う曲の為に最後の調整をしたかった俺は

彼女のその思いやりのない行動に少しイラッとした

この気持ちを本人にぶつけてやりたい衝動を

何とか抑え楽器をウエスで磨くふりをした

「明日は移動日だから、今夜は打ち上げはしないことになったんだ。」

ベースの彼がそう彼女に声を掛けた

「さあ、最終打ち合わせをはじめようか。関係者以外は少し部屋を

外してくれないかな。」

そう部屋にいるスタッフに声をかけた

勿論彼女に聞こえる様にワザと声を掛けたのだ

それぞれ別々の事をしていた皆は自分の持ち場へと移動を始めた

「ごめん、これから打ち合わせなんだ俺達以外ここには入れないことに

なってるから出て行ってくれないかな。」

俺は作り笑いを取り繕いながらそう彼女に話す

「じゃ、ライブの後、一緒に帰ってもいい?。」

そう言って俺の腕に手を伸ばしてくる

「すみません、彼等急いでいるので一緒に行きましょう。」

ようやく俺のマネージャーがそう言いながら間に入って

俺に伸ばした彼女の腕をつかむと、部屋の入口へといざなっていった

それでも彼女は何かマネージャーの肩越しに叫んでいたけど

マネージャーはそのまま彼女を部屋からを連れだした

関係者以外が全員退出した部屋は二人が出て行ってしまうと

一瞬静かになったが、次の瞬間

バンドメンバーから笑いが起こった

「ハルも大変だな。」

皆ニヤニヤしながら俺をみつめた

勘弁してよ

そう言って俺は溜息をついた

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