あなたの青 わたしのピンク
ところが何故か彼女の様子がおかしかった

どうもスタッフの人達ともめているようだった

何度か彼女が入口から中へ入ろうとするが

その度スタッフに抑えられ

上手に入口から引き離されている

そのうちパーソナリティの彼女が声を荒げはじめた

それでもスタッフの二人は

何度も頭を下げたり彼女の行き先をかえている

何度か押し合いになり

最後に彼女が怒って彼女の腕をつかむスタッフの手を

振りほどいた

そして何か彼等に文句を言うと

店から離れていったのだった

「どうも何もないみたいね。」

前の二人はほっとした表情になってそう頷いた

スタッフの二人もほっとした様に笑みを浮かべ

会話をしながら店へと戻って行った

並んだ列にまたライブを待つ楽し気な雰囲気が戻って

愛果はほっとした

大切はハルの初めてのアジアツアーの初日

ハルはこれまでこの日の為に努力をしてきたのだ

もし、ハルに大切な人ができたとしても

ツアーだけは成功してほしいと思う

あの、名古屋でのハルと過ごした日々が

無駄にならないでくれるなら

私はきっとどんな結末さえ受け入れてしまうだろう

瞳を輝かせニューヨークへの夢を語るハル

わたしはそんな彼を愛したのだから
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