あなたの青 わたしのピンク
その事を知ったのは

父が倒れてから二週間ほど経ってからの

インスタグラムの写真だった

名駅のナナちゃん人形を指さすハルの写真

ラインでハルのマネさんに何気なく

名古屋に来た日を質問すると

「愛果さんのお父様が倒れたって聞いた日です。」

そう教えてくれた

「ハルには言うなって言われたんだけど伝えておきたくて。」


マネさんもとても心配してくれてたのだ

「愛果さん、ハルは貴女をとても大切に思っています。

だから彼のこと信じてください。」

そう言ってくれた

それは、その後

彼の初めてのアルバム作成が始まる為、しばらく連絡も


簡単に取れなくなってしまう私達を心配しての彼の言葉だった


彼のその言葉は何より私をとても勇気づけた

そしてアーティストを好きになるという事を

その後まざまざと思い知らされる事になる


父の様子を見計らって

何度か東京へハルに逢いに行こうとした

その度、特にレコーディングの始まったハルは

その合間を使って別の仕事を入れる事が多かった

またレコーディングは特に

内容が外部に漏れるのを防ぐため

連絡も取れなくなったのだった

それでも一度だけ

ハルに逢いに行ったことがある


それは

父が倒れてから

三カ月ほど経った秋も終わりのことだった
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