あなたの青 わたしのピンク
「愛果このままここにいろよ。」

その日はとても良い天気で

ベットの横にある窓からは真っ青な空が良く見えた

その空を見ながら私も同じことを思っていた

私はその言葉に頷くと

ハルの胸に抱きついた

ハルも私を強く抱きしめた

腕の中で私は何とかせめてあと一日

東京にいることはできないかと

グルグルと考えを巡らせる

窓の外からは近くの公園で遊ぶ子供達の話し声や

マンションの敷地を囲って植えられた垣根に

やってきた鳥の鳴き声が聞こえて

私は幸せってこんな日の事をいうんじゃないかと

思っていた

もう少しこうしてハルと一緒にいたかったのだ

けれど

明日どうしてもやらなければならない仕事を思い出して

「くそー。」と呟いた

するとハルが笑って言った

「愛果でもそんなこというんだな。」

その笑顔が素敵で、私はドキドキしてしまう

ずるいよハル

けど、こんな気持ち何だか内緒にしたくて

話を続けた

何だか悔しかったのだ

ハルも私のことそう思ってくれること

あるのかな

「この間から年上の後輩が同じグループに

入ってきたんだ。

彼女ちょっと面倒な仕事がくると

いつも独り言いうんだよ

誰だ、こんな面倒な仕事するのはって。

隣りの席だからおかしくて

いつもみんなで笑ってるの。ワカルって。」

話をしながら

彼女の事をおもいだす

まだ入社して三カ月たっていない

明日わたしが急に休んだらきっと

彼女は困ってしまうだろう

< 8 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop