初恋の花が咲くころ
「あの、聞いてます?」
咲と棗の席から少し離れたところに、あやめと桐生は座っていた。
「ごめん、何の話だっけ?」
あやめに手を振られて、桐生は我に返った。
「来週、映画観に行くんですよね?」
訝し気なあやめの表情に慌てて桐生は、頷く。
「うん、もし空いてれば」
「いいですよ。メモしておきますね」
あやめはスマホをポケットから取り出しながら答えたが、その視線は桐生が見つめる先を追いかけていた。そこには、傍からは仲良さそうに見える咲と棗の姿があった。
「気になります?」
ぼーっと見ている桐生に向かってあやめは聞いた。
「え、いや…。誰だろうと思ってな」
「営業課の真島棗です」
「知り合いか?」
喰い気味に桐生が尋ねた。
「はい、私たち幼なじみなんです。棗は一つ年下ですが」
「そうか…」
意識半分で答えるながら、席を立つ二人の後姿を見送る桐生の瞳が印象的で、あやめは視線を逸らすことが出来なかった。
咲と棗の席から少し離れたところに、あやめと桐生は座っていた。
「ごめん、何の話だっけ?」
あやめに手を振られて、桐生は我に返った。
「来週、映画観に行くんですよね?」
訝し気なあやめの表情に慌てて桐生は、頷く。
「うん、もし空いてれば」
「いいですよ。メモしておきますね」
あやめはスマホをポケットから取り出しながら答えたが、その視線は桐生が見つめる先を追いかけていた。そこには、傍からは仲良さそうに見える咲と棗の姿があった。
「気になります?」
ぼーっと見ている桐生に向かってあやめは聞いた。
「え、いや…。誰だろうと思ってな」
「営業課の真島棗です」
「知り合いか?」
喰い気味に桐生が尋ねた。
「はい、私たち幼なじみなんです。棗は一つ年下ですが」
「そうか…」
意識半分で答えるながら、席を立つ二人の後姿を見送る桐生の瞳が印象的で、あやめは視線を逸らすことが出来なかった。