初恋の花が咲くころ
喉が渇いて目を覚ますと、咲は自分がどこにいるのか一瞬分からなかった。
見覚えのない天井に、自分のものとは全く違う気持ちのいい手触りの掛布団。もし、これが夢なのであれば、もう少しここで寝ていたい、そう思って寝返りを打つと、すでに目を覚ましていた桐生と目があった。
その瞬間、何が起きたか走馬燈のように一瞬で全てを思い出した。
「&@$%&\◎!?」
その瞬間声にならない叫びをあげた。
「うるさい」
桐生が咲の口を押える。
「叫ぶな」
その手から逃げるように咲は慌てて上体を起こす。
「な、なんで私ここに…?もしかして、寝ぼけてここに入って来たのでしょうか?」
いつ寝落ちしたのか覚えていなくて焦る。
桐生は未だ寝転がったまま、肘をついて咲を見た。
「いや、俺が入れた」
「…はい?」
「起きたら、お前が床で寝てるから」
「そのままにしといて下さいよ…」
咲はぼそっと呟いたが、それからハッと気づいてすぐに顔を上げた。
「もう大丈夫なんですか?」
「熱は完全に下がったよ。喉はまだ残ってるけど」
確かに普段より幾分かハスキーな声になっている。
それがまたかっこよく、さらに惚れそうになる自分を殴りたくなる。
「良かったです。じゃあ、あの…私、帰ります…」
ベッドの上で正座をしていた咲は、桐生を乗り越えようとするが、腕を掴まれてしまった。
「そのままで帰れるのか?」
そう言われて自分がどんなに悲惨かを思い出した。
「そういえば、私…お風呂入らないで来たし…服、昨日と同じ…」
「髪の毛も芸術的だな」
近くにあった全身鏡をみて、咲はまたもや悲鳴を上げそうになった。
「風呂、入って行け」
有無を言わさない桐生の物言いと、今の自分姿を世間に晒す勇気は皆無、ということで、お言葉に甘えることにした。
見覚えのない天井に、自分のものとは全く違う気持ちのいい手触りの掛布団。もし、これが夢なのであれば、もう少しここで寝ていたい、そう思って寝返りを打つと、すでに目を覚ましていた桐生と目があった。
その瞬間、何が起きたか走馬燈のように一瞬で全てを思い出した。
「&@$%&\◎!?」
その瞬間声にならない叫びをあげた。
「うるさい」
桐生が咲の口を押える。
「叫ぶな」
その手から逃げるように咲は慌てて上体を起こす。
「な、なんで私ここに…?もしかして、寝ぼけてここに入って来たのでしょうか?」
いつ寝落ちしたのか覚えていなくて焦る。
桐生は未だ寝転がったまま、肘をついて咲を見た。
「いや、俺が入れた」
「…はい?」
「起きたら、お前が床で寝てるから」
「そのままにしといて下さいよ…」
咲はぼそっと呟いたが、それからハッと気づいてすぐに顔を上げた。
「もう大丈夫なんですか?」
「熱は完全に下がったよ。喉はまだ残ってるけど」
確かに普段より幾分かハスキーな声になっている。
それがまたかっこよく、さらに惚れそうになる自分を殴りたくなる。
「良かったです。じゃあ、あの…私、帰ります…」
ベッドの上で正座をしていた咲は、桐生を乗り越えようとするが、腕を掴まれてしまった。
「そのままで帰れるのか?」
そう言われて自分がどんなに悲惨かを思い出した。
「そういえば、私…お風呂入らないで来たし…服、昨日と同じ…」
「髪の毛も芸術的だな」
近くにあった全身鏡をみて、咲はまたもや悲鳴を上げそうになった。
「風呂、入って行け」
有無を言わさない桐生の物言いと、今の自分姿を世間に晒す勇気は皆無、ということで、お言葉に甘えることにした。