初恋の花が咲くころ
初対面
「え、渡せなかったの?」
病院のベッドに寝ていた向田さんに報告しに行くと、彼はがっくりとうなだれた。
「すみません…。怖い人にホテルのロビーで絡まれたので、逃げてしまいました…」
「あ~明日、編集長、絶対出社するよ…。あの人怒らせるとどうなるか…」
「あした、私が、謝ります!」
向井さんは、大きなため息を吐いた。
「僕、3日間は入院しなきゃいけないから、フォロー出来ないよ」
「大丈夫です!が、頑張ります!」
とは言ったものの、怒ると恐ろしい編集長に会うことや、お叱りを受けることが怖くて、その日は眠ることが出来なかった。
「スマホを失くした?」
次の日の朝、オフィスでコーヒーメーカーのボタンを押しながらあやめが聞いた。
「うん…。たぶん、ホテルのロビーに落としたと思うんだけど…」
昨日のチンピラのような目つきの悪い男性を思い出して、また身震いする。
「だから後で、スマホ貸してくれる?ホテルに直接電話してみる」
「それは別にいいけど…」
咲の目の下にくまが出来ているのを、心配そうに見つめながらあやめは言った。
「私このあと外出るから、13時カフェテリアで待ち合わせしよう?」
咲の肩をポンと叩き、砂糖を3つも入れたコーヒーを一気飲みして、あやめは颯爽と出かけて行った。
一緒の職場で働き始めたが、あやめは外に出てインタビューや情報収集をするなど、新人の咲と違って外での仕事が多いため、一緒にいることが少なかった。
自分のことは、自分でやれ、というのがこの部署の風潮のためか、面倒を見てくれる先輩もいないため、あやめが不在の職場は心細くて仕方かなかった。
そんな気持ちが小さくなっている咲に追い打ちをかける出来事が起きた。
病院のベッドに寝ていた向田さんに報告しに行くと、彼はがっくりとうなだれた。
「すみません…。怖い人にホテルのロビーで絡まれたので、逃げてしまいました…」
「あ~明日、編集長、絶対出社するよ…。あの人怒らせるとどうなるか…」
「あした、私が、謝ります!」
向井さんは、大きなため息を吐いた。
「僕、3日間は入院しなきゃいけないから、フォロー出来ないよ」
「大丈夫です!が、頑張ります!」
とは言ったものの、怒ると恐ろしい編集長に会うことや、お叱りを受けることが怖くて、その日は眠ることが出来なかった。
「スマホを失くした?」
次の日の朝、オフィスでコーヒーメーカーのボタンを押しながらあやめが聞いた。
「うん…。たぶん、ホテルのロビーに落としたと思うんだけど…」
昨日のチンピラのような目つきの悪い男性を思い出して、また身震いする。
「だから後で、スマホ貸してくれる?ホテルに直接電話してみる」
「それは別にいいけど…」
咲の目の下にくまが出来ているのを、心配そうに見つめながらあやめは言った。
「私このあと外出るから、13時カフェテリアで待ち合わせしよう?」
咲の肩をポンと叩き、砂糖を3つも入れたコーヒーを一気飲みして、あやめは颯爽と出かけて行った。
一緒の職場で働き始めたが、あやめは外に出てインタビューや情報収集をするなど、新人の咲と違って外での仕事が多いため、一緒にいることが少なかった。
自分のことは、自分でやれ、というのがこの部署の風潮のためか、面倒を見てくれる先輩もいないため、あやめが不在の職場は心細くて仕方かなかった。
そんな気持ちが小さくなっている咲に追い打ちをかける出来事が起きた。