だいすきだったきみへ。
わたしの左手は、

きみの右手のなかにあったから、

わたしは右手でバランスを取るしかなかった。

だけどこたつの外はやっぱり寒くて、

両手の温度差が半端なかった。

だから気付けばこたつのなかにある

ふたりの手に、

きみの手に、

冷たくなった右手を当てた。

「手、冷たくない?」

突然言われた言葉。

その主はきみしかいなくて。
< 131 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop