名もない詩集
嵐みたいに
時々襲う
不安な気持ちを
消し去るように
お互いを
確かめる指先
背中越しの
温もりで

消せないテレビ
青く二人を
映し出す
ダウンライトの
部屋の中

カーテンの隙間
夜明けが近いと
教えられるけど
心に朝は来ない

誰にでも
与えられる
優しさなら
欲しくない

私がいないと
生きていけない

そう泣いて
すがってよ

お願いだから
側にいてくれと
抱きしめて
つかまえていて

この終らない
闇から私を
連れ去って

美しい言葉
それだけでなく

強い腕だけでも
淋しいけど

何もないなら
もっと淋しい

傷ついても
会えて良かった
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