名もない詩集

11年後の春のうた

悲しいのなら
泣いてしまえばいい

悲しいのなら
眠ってしまえばいい


無理に笑うなら
心痛むだけさ

桜の蕾が
膨らむ頃に
空から舞う忘れ雪

青い空から
一つまた一つ

雪だか花びらだか
分からない位
涙を数えるように
手のひらで溶かして



もしここにいなければ
どれだけ
淋しかったんだろう

この愛を得る為に
どれだけ
人を傷つけたんだろう

誰だって
無傷で誰かを
愛せない

何かしら
罪を犯さなければ
守れない

けれど
過ちなら今からでも
手を離さなきゃ

自分の為だけに
生きてはいられない
守る誰かがいるなら



心を騙して
信じようとしたけど
本当は期待なんて
したところで
無理だと知っていたのに

現実に苦しむのが
自分一人でない事も
わかりすぎていても

誰かの涙を
踏みにじって得た幸せが
辛いなら文字にして
空へ放してしまえ


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