名もない詩集


もしも僕なら
絶対君に
淋しい思いは
させない

何もないふりで
明るくふるまってる
その背中に
どれだけの事を
背負っているか

その強くない腕で
どれだけの困難を
ふりはらっているか
気づかせない優しさ
知っているから

なのにほんの少しも
あいつは
知りもしないで

君の流した涙の数も
眠れない夜の数も
理由さえ
知る努力もしない

いつだって
本当は君に
守られてきた事も
わかろうともしない

君が飲み込んだ
悲しみや苦しみは
行き場がなく
心に溜まるばかり

さりげなく
あいつを呼んだり
さりげなく
あいつに電話したり

ほんとは辛くて
どこかへ
行きたいのに
いつも気を遣ってる

我慢強い君が
たまに言うのは
耐えられない時

あいつはそれを
気まぐれとか
わがままだとか
君を責めるだけ

何故気づかないのか
おどけたふりして
心で涙を止めている
君の悲しさに

やっと会える日も
平気で遅刻して
食事をしたら
寝ちゃって
顔さえ見てない
話もしてないのと

君は笑いながら
でも淋しそうに
僕に言って
一人戦うんだ
あいつを責めないで

誰かの誘いや
電話も断って
薬も飲みたいのに
我慢して
いっそ自分を
傷つけて痛みを
すり替えたくても
できないから
あいつにさりげなく
助けてと心で言うのに

あいつなんかより
比べ物にならない位
苦しんでて
いつも傷つけられて
どうしてあいつを
離れないの?
あいつは君を
幸せにしてないよ

僕なら海でも
どこでも
君を連れて行こう

君は車の窓から
外を見るのが
好きだから
今の暮らしは辛い

深夜のファミレスでも
朝まで傍にいるよ
飛行機に乗せても
遠くへ連れて行く
君の翼になり
足になろう


居眠りなんかして
淋しい思いは
させないよ
ずっと君から
目を離さない
僕が君の
傍にいたいんだ


あいつに話したい事
全部聞いてやる
あいつに相談したくて
言えない事
全部聞いてちゃんと
真面目に考える

君が呼んでくれたら
何時間かかっても
飛んで行くさ

君に笑って欲しいんだ
休ませてあげたいんだ

だけど君は今夜も
優しく僕を拒んで
どこにも行かない
今夜も一人部屋で
誰にも知られず
泣いているのさ


夜の海岸でも
高速でも
連れていけないなら
せめてどこかへ
連れ出してやりたい


折れかけてる
君の心を支えたい

消えかけてる
君の灯を守りたい

僕がここにいるから
あいつをもう忘れて
昔の君に戻って
悲しい顔しないで







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