名もない詩集
いったい
何と戦ってるの

他の人には
見えない何かと

君は必死に
戦っている

多分
大きすぎて
見えないんだ

見えないものと
君は必死で戦って

そして
時には
勝利の笑顔を浮かべ

時には
絶望にさらわれて
深い渕をさまよい
行ったり来たり
漂って
岸辺に流れ着くんだ

見かねて
手をさしのべようとすると
君は決まって
一人で立ち上がり
こう言うんだ

「何かなんて
私にだって
今ではもう
わからない

でも
そこに道を阻む
何かが来ると

私はそれと戦って
前へ行くの

それだけ」

その時僕はとっても
君が美しく見えた

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