名もない詩集
涙は落ちなくても
にじむだけで目は腫れる

気づいた人が
泣いたのかと問うと
「昔からこんな顔よ」
そう釘をさされる

たまにしか
会わない人の方が
私の変化に気づく

心の中でなら
どれだけ泣いたか
わかりはしない

堪えるから
瞼が腫れる

仕方ないじゃない
声を張り上げて
泣けないんだから

泣かないで
生きてきたから
うまく泣けないし
泣いていい場所が
どこにもなかっただけ

涙を流せるなら
少しは楽になれるかな

そう思うだけで
今夜も私の瞳は
涙知らずで腫れてゆく
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