名もない詩集
あたりまえだけど
ほんとに一人だね
悲しい位
ほんとに一人だね

夜露に濡れた
コンクリートに座り
雲の切れ間から
見える月を
見上げて
通るのは
野良猫位さ

悲しむ事なんかないさ
元々
一人だったんだから
最初に戻っただけ

甘える胸なんか
物心ついてから
なかったじゃないか

それでも
明かりのついた
窓を一つ一つ
見る度に
胸が苦しい

ファミレスの
窓際の人影が
幸せそうで
幸せそうで

いつか
あんな日もあった
なんてね

泣いても届かない
二度とは戻れない

幸せに
見放された人生だと
いつになれば
覚えるんだい

馬鹿な女だね
あたし…

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