行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「それよりも・・・mirayさん。そのお姿・・・。」

豊と悠紀斗に付いていかずにその場に残った優美子は、マジマジと、男装したmirayのスーツ姿を眺めていた。

真っ赤に頬を染める様子は、まるで恋する乙女のようだ。

「この間、私が言っていたこと、覚えていらっしゃる?」

「ええ、もちろんですよ。お妃さま」

mirayは、声色を変えて優美子の手を取ると、恭しくその掌にキスを落とした。

「しゃ、写真を一緒に撮ってくださる?」

「喜んで」

優美子はバッグからスマホを取り出すと

「波留斗さん、さあ、撮って頂戴。一枚だけでなくたくさん撮ってね」

mirayと並んで写真を撮る優美子は、とても嬉しそうで、なんだかアイドルに憧れる女子高生みたいで可愛かった。

「おや、その様子ですと、南條の奥様もmirayちゃんのファンですかな?よろしければあちらのティールームでお話でも」

ニコニコと喜びを隠さない西園寺護は、取引先に見せる高圧的な態度も、冷淡な表情でもないため、周囲の来賓は驚きを隠せずにいた。

「まあ、やはり西園寺社長もmirayさんのフファンでいらしたのね?是非、お話をさせてください」

優美子と意気投合した護は、

「薫子さんも、波留斗くんも、もちろんmirayちゃんも私についておいで」

と、有無を言わせない我が儘な態度で、3人を誘った。

ティールームはゲストがパーティーの雰囲気に疲れを感じたときに利用できるパーソナルスペース。

今日利用しているこのホテルも、実は西園寺コーポレーションの所有物だったりするわけで・・・・。

勝手知ったる己のフィールドで、護はご機嫌にこの状況を楽しんでいた。
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