行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
翌日、波留斗はさくらを伴って、南條ビバレッジの会長室に向かった。
「やあ、波留斗。昨日はいつの間にか帰ってしまって、何かあったのかと心配したぞ」
と、南條豊は、波留斗とmirayの姿のさくらをみ比べて笑った。
「父さんに報告があってきました。今日、私は西園寺家に婿養子に入ります」
「はっ?」
突然の申し出に、さすがの豊も驚いたのか、言葉がでない様子だったが、
真面目な波留斗とさくらの表情に、真剣さを見て取り
「そうか、わかった」
と真面目な顔で頷いた。
「いいのか?」
反対されるとばかり思っていた波留斗は、肩透かしを食らって拍子抜けしていた。
「優美子から聞いたよ。ルーのことをずっと誤解していて、あんなに頑なだったんだって。わがままも言わないただ真面目なだけが取り柄の波留斗が、自分の意思で選んで決めたことだ。好きにしなさい」
優しい父の言葉に、波留斗は自分が愛されていたことを知った。
「西園寺さくらさん。波留斗が初めて自分から望んだことだ。どうかパートナーとしてよろしくお願いします」
「こちらこそふつつか者ですがよろしくお願い致します」
さくらが丁寧にお辞儀をすると、並んで波留斗もお辞儀をした。
「ずいぶん急ぐんだな」
二人が頭を上げると、会長室の入り口に、悠紀斗が立っていた。
「兄さん」
「さくらさん、こいつはこう見えて犯罪者なんだよ。それでも波留斗がいいの?」
悠紀斗の一言に、波留斗の顔が悲しみに歪む。
「悠紀斗、それは誤解だ」
豊が悠紀斗を嗜めようとする前に、さくらが動いた。
「幼い弟を庇うでもなくトラウマを植え付けて、ことあるごとにそれを揺さぶるような方よりも、犯罪者の濡れ衣に戸惑い悩む波留斗さんが大好きですよ」
さくらの言葉に、波留斗と豊が息を飲む。
悠紀斗は無表情を崩さない。
「でも、本当はその事を謝れなくて素直になれない、ツンデレなお兄さんを選んでくれる人もきっといます。それはさくらではないですけど」
と、さくらは微笑んで波留斗のもとに戻り、波留斗の腕を組んで彼を見上げ
「お兄ちゃんは我慢ばかりしてる波留斗の邪魔をすることで本気になってほしかったんだぞー」
と続けた。
「そうなのか?」
波留斗が悠紀斗を見ると、悠紀斗の耳が赤い。
「そうだよ。巨乳好きの悠紀斗さんが、男女(オトコオンナ)のさくらなんて相手にするわけないじゃん。mirayは悠紀斗さんの真逆のタイプで、仕方ないから波留斗の本気を引き出すために口説くかーって愚痴ってたって、秘書の鈴木さんが言ってた」
鈴木とは、悠紀斗の秘書で悠紀斗の幼なじみだ。
「悠紀斗もまた、妹を亡くし、弟を失いそうになった被害者だった」
ただ一言、゛危ないから気を付けろ゛と言えば良かったのに、幼かった悠紀斗は波留斗を責めるようなことしか口にできなかったのだ。
一度口にした失言は元には戻らない。
波留斗の心を貫いた刃を外そうとする、悠紀斗の試みはことごとく外れ、波留斗を益々頑なにするという悪循環に陥った。
「素直じゃない二人が身内になるなんて今後が思いやられる」
さくらの言葉に
「望んで飛び込むくせに、大袈裟だろ」
と波留斗がさくらの額をつつく。
「会長室でイチャつくのはやめろ。お前はもう、西園寺の婿養子だろ?波留斗の陰気臭い顔を見なくて済むなら願ったり叶ったりだな」
そういう悠紀斗の顔は晴れ晴れとしている。
「ああ、お望み通り、西園寺波留斗になってくる」
さくらの手を引く波留斗の表情もまた笑顔で溢れていた。
「やあ、波留斗。昨日はいつの間にか帰ってしまって、何かあったのかと心配したぞ」
と、南條豊は、波留斗とmirayの姿のさくらをみ比べて笑った。
「父さんに報告があってきました。今日、私は西園寺家に婿養子に入ります」
「はっ?」
突然の申し出に、さすがの豊も驚いたのか、言葉がでない様子だったが、
真面目な波留斗とさくらの表情に、真剣さを見て取り
「そうか、わかった」
と真面目な顔で頷いた。
「いいのか?」
反対されるとばかり思っていた波留斗は、肩透かしを食らって拍子抜けしていた。
「優美子から聞いたよ。ルーのことをずっと誤解していて、あんなに頑なだったんだって。わがままも言わないただ真面目なだけが取り柄の波留斗が、自分の意思で選んで決めたことだ。好きにしなさい」
優しい父の言葉に、波留斗は自分が愛されていたことを知った。
「西園寺さくらさん。波留斗が初めて自分から望んだことだ。どうかパートナーとしてよろしくお願いします」
「こちらこそふつつか者ですがよろしくお願い致します」
さくらが丁寧にお辞儀をすると、並んで波留斗もお辞儀をした。
「ずいぶん急ぐんだな」
二人が頭を上げると、会長室の入り口に、悠紀斗が立っていた。
「兄さん」
「さくらさん、こいつはこう見えて犯罪者なんだよ。それでも波留斗がいいの?」
悠紀斗の一言に、波留斗の顔が悲しみに歪む。
「悠紀斗、それは誤解だ」
豊が悠紀斗を嗜めようとする前に、さくらが動いた。
「幼い弟を庇うでもなくトラウマを植え付けて、ことあるごとにそれを揺さぶるような方よりも、犯罪者の濡れ衣に戸惑い悩む波留斗さんが大好きですよ」
さくらの言葉に、波留斗と豊が息を飲む。
悠紀斗は無表情を崩さない。
「でも、本当はその事を謝れなくて素直になれない、ツンデレなお兄さんを選んでくれる人もきっといます。それはさくらではないですけど」
と、さくらは微笑んで波留斗のもとに戻り、波留斗の腕を組んで彼を見上げ
「お兄ちゃんは我慢ばかりしてる波留斗の邪魔をすることで本気になってほしかったんだぞー」
と続けた。
「そうなのか?」
波留斗が悠紀斗を見ると、悠紀斗の耳が赤い。
「そうだよ。巨乳好きの悠紀斗さんが、男女(オトコオンナ)のさくらなんて相手にするわけないじゃん。mirayは悠紀斗さんの真逆のタイプで、仕方ないから波留斗の本気を引き出すために口説くかーって愚痴ってたって、秘書の鈴木さんが言ってた」
鈴木とは、悠紀斗の秘書で悠紀斗の幼なじみだ。
「悠紀斗もまた、妹を亡くし、弟を失いそうになった被害者だった」
ただ一言、゛危ないから気を付けろ゛と言えば良かったのに、幼かった悠紀斗は波留斗を責めるようなことしか口にできなかったのだ。
一度口にした失言は元には戻らない。
波留斗の心を貫いた刃を外そうとする、悠紀斗の試みはことごとく外れ、波留斗を益々頑なにするという悪循環に陥った。
「素直じゃない二人が身内になるなんて今後が思いやられる」
さくらの言葉に
「望んで飛び込むくせに、大袈裟だろ」
と波留斗がさくらの額をつつく。
「会長室でイチャつくのはやめろ。お前はもう、西園寺の婿養子だろ?波留斗の陰気臭い顔を見なくて済むなら願ったり叶ったりだな」
そういう悠紀斗の顔は晴れ晴れとしている。
「ああ、お望み通り、西園寺波留斗になってくる」
さくらの手を引く波留斗の表情もまた笑顔で溢れていた。