行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「それで、お互い謝罪は済みましたし、本題に移りましょうか」

さくらは、ウェイターにハイボールソーダを頼むと、南條と廣瀬に向き合い笑顔で言った。

「モデルの話ですよね?私はその方面は素人ですし、自身で会社を経営する管理職でもある。芸能界のような華々しい場所で注目されるのは、私の本意ではありません」

「ご実家からの介入があるということですか?」

「ああ、調べたんですね?」

廣瀬の質問の意図に苦言を述べるわけでもなく、さくらは続ける。

「あと9ヶ月は好きにしていいと言われていますから、そちらは問題ないでしょう。それよりも、このお話を引き受ける上で、私が被るメリットとデメリットについて御社はどのようにお考えかお聞かせいただきたいのですが」

それは、ディベイトを仕掛ける教育者もしくは裁判官のようにこの状況を面白がっている様子が、さくらからは見てとれた。

「メリット、ですか?」

確かに、さくらはお金には全く困っていないだろう。

会社運営も軌道にのり、多少のリスクはあるとはいえ今のところは順風満帆といえる。

西園寺コーポレーションの次期後継者とうたわれる才能の持ち主。

南條は、さくらから自分が試されていると思った。

< 12 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop