行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「こちらが゛triple birth union゛から派遣された期間限定モデル、miray(ミライ)です。わが社の新商品゛Deniz゛のイメージモデルをお願いしています」
波留斗は、南條ビバレッジの社長・南條豊(58)と、副社長の南條悠紀斗(32)、開発部長の永瀨諭(52)にmirayを紹介した。
「噂通りに魅力的な方だ。Denizのイメージにとても近い。失礼だが、mirayさんは・・・」
「世間には8ヶ月後まで性別は明かしませんが、戸籍上は女です」
性別を尋ねても良いのかと、戸惑っている、波留斗の父である南條豊社長の心境を察し、さくらは小悪魔のように微笑んで言った。
「まるで、本当にこうしたキャラクターが存在するかのように自然な佇まいだね。日頃からやりなれてるのかな?」
「どうでしょう?」
曖昧に答える姿さえも、ここにいる全員を引き付けてしまう。
「mirayさん、今夜、撮影の後に、僕らと会食でもいかがですか?歓迎の意を示したい」
副社長の悠紀斗の言葉に、波留斗は眉をひそめて即答する。
「mirayを連れ回すのはダメだ。CMの第一段が発表されるまでは存在がバレるのは不味い」
悠紀斗は波留斗の兄だ。
32歳で独身、波留斗と同じように、長身でイケメン。
ただ、来るもの拒まず、去るもの追わずで、誰にも本気になったことはない。
必要以上にmirayに関わらせるのは危険だと、波留斗は察知し、先手を打った。
「これだけ魅力的なのに、何故今まで話題にならなかったんだ?普通に生活してたんだろ?」
「それも企業秘密ですから」
さくらの言葉に、社長も副社長も開発部長も笑顔で頷いた。
「仕方ないですね。Denizが注目されて、わが社の看板商品になるよう力を貸してください。我々も支援を惜しみませんから」
さくらの手を握ろうとする悠紀斗を遮り、
「俺たちは時間がないからもう行くよ」
と、波留斗がmirayの腕を掴んで社長室を出ようとする。
「おいおい、ずいぶん独占欲が強いんだな。そんなんじゃ嫌われるぞ」
兄の冷やかしも関係ない。
mirayをこれ以上兄の目にさらしたくないのが、波留斗の本音だった。
「やきもち?」
「そうかもな」
波留斗に腕を引かれながら、クスクスと笑うさくら。
「男同士だと思われてたら、結構シュールな絵面だけどいいの?」
広報部長が、ユニセックスな美人を引きずりながら歩く様子は、あからさまに注目を浴びている。
「別に構わない。それより俺から離れるな」
波留斗の言葉に、一瞬目を見開いたさくらだったが
「ハイハイ。王子様」
と肩をすくめて受け入れるのだった。
波留斗は、南條ビバレッジの社長・南條豊(58)と、副社長の南條悠紀斗(32)、開発部長の永瀨諭(52)にmirayを紹介した。
「噂通りに魅力的な方だ。Denizのイメージにとても近い。失礼だが、mirayさんは・・・」
「世間には8ヶ月後まで性別は明かしませんが、戸籍上は女です」
性別を尋ねても良いのかと、戸惑っている、波留斗の父である南條豊社長の心境を察し、さくらは小悪魔のように微笑んで言った。
「まるで、本当にこうしたキャラクターが存在するかのように自然な佇まいだね。日頃からやりなれてるのかな?」
「どうでしょう?」
曖昧に答える姿さえも、ここにいる全員を引き付けてしまう。
「mirayさん、今夜、撮影の後に、僕らと会食でもいかがですか?歓迎の意を示したい」
副社長の悠紀斗の言葉に、波留斗は眉をひそめて即答する。
「mirayを連れ回すのはダメだ。CMの第一段が発表されるまでは存在がバレるのは不味い」
悠紀斗は波留斗の兄だ。
32歳で独身、波留斗と同じように、長身でイケメン。
ただ、来るもの拒まず、去るもの追わずで、誰にも本気になったことはない。
必要以上にmirayに関わらせるのは危険だと、波留斗は察知し、先手を打った。
「これだけ魅力的なのに、何故今まで話題にならなかったんだ?普通に生活してたんだろ?」
「それも企業秘密ですから」
さくらの言葉に、社長も副社長も開発部長も笑顔で頷いた。
「仕方ないですね。Denizが注目されて、わが社の看板商品になるよう力を貸してください。我々も支援を惜しみませんから」
さくらの手を握ろうとする悠紀斗を遮り、
「俺たちは時間がないからもう行くよ」
と、波留斗がmirayの腕を掴んで社長室を出ようとする。
「おいおい、ずいぶん独占欲が強いんだな。そんなんじゃ嫌われるぞ」
兄の冷やかしも関係ない。
mirayをこれ以上兄の目にさらしたくないのが、波留斗の本音だった。
「やきもち?」
「そうかもな」
波留斗に腕を引かれながら、クスクスと笑うさくら。
「男同士だと思われてたら、結構シュールな絵面だけどいいの?」
広報部長が、ユニセックスな美人を引きずりながら歩く様子は、あからさまに注目を浴びている。
「別に構わない。それより俺から離れるな」
波留斗の言葉に、一瞬目を見開いたさくらだったが
「ハイハイ。王子様」
と肩をすくめて受け入れるのだった。