行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「お父様、ご無沙汰しております」

「さくらちゃーん。会いたかったよぅ」

それまでの堅く厳しい様子から一転、護は甘い声を出してさくらに抱きついた。

「はい、はい。相変わらずブレませんね」

抱きつく護の背中をトントンと叩くさくら。

「だってさー、さくらちゃん、髪切って染めて、カラコンとか、お父さんびっくりしたよー。mirayって男の子?女の子?なんて、女の子に決まってるじゃないかー。ああ、でも実際見たら男の子でもいけるねえ」

・・・これは誰だ?何キャラ・・・?

波留斗の混乱を悟ったのか

「西園寺護、私の父。彼は、さくらを少々溺愛しており・・・」

「さくらちゃんだけじゃないよー。mirayのファンクラブ立ち上げといたからねー。会員番号1番は当然僕だよ。2番はじいちゃんだけどねー」

「いつの間に?・・・それはどうも」

ファンクラブとは恐れ入る。

呆れ顔のさくらを腕から離すと、護はチラッと波留斗を見る。

「ところで、君が南條波留斗くんか。私は野心の一つもない男は嫌いでね。さくらのパートナー候補ならなおさらだ」

甘えたオタクキャラから眼光を鋭くした社長の顔に変わった護はさすがに貫禄があった。

「お父様、波留斗は私生活でのパートナーというわけでは・・・」

「いえ、さくらさんに関しては私は野心だらけです。兄にも、誰にも負けるつもりはありません」

「ほう、意外に骨がある」

「あなた、立ち話もなんだから、リビングに行ってお話ししましょう」

「そうだねー。薫子ちゃん」

デレデレで薫子の肩を抱く護は、波留斗の中でキャラが定まらない。

「ごめんね。これが通常運転なんだ」

さくらの言葉に苦笑して、波留斗は西園寺家の面々のあとに続いた。
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