行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「しかし、思い切ったことをしたな。triple birth unionを立ち上げてからも裏方に徹して、決して冒険はしなかったのに」

「そうね。さくらさんは何にも熱中することがなかったものね。卒なく何でもこなすから」

さくらは物憂げに前髪を掻き上げると

「だね。とても楽しいよ。求められるのも、認められるのも」

と微笑んだ。

「・・・。僕のさくらちゃんに色気を纏わせたのは君なのか?南條くん」

「波留斗とお呼びください。西園寺社長」

「では、波留斗。君は全てを受け入れ立ち向かう勇気はあるか?」

「聞くまでもありません。さくらさんと出会った時から、そのつもりです」

目を反らさずに答える波留斗に、護は不敵な微笑みを返す。

「ほう、お手並み拝見と行こう」

波留斗と父親の言葉に

「ちょっと、こっちの気持ちを棚にあげて話を進めないでよ」

と、さくらが横やりを入れる。

「まんざらでもないくせに」

「お母様」

薫子とさくらは口角を上げて、見つめ合ったまま動かない。

「ところでCMは第2シーズンから第4シーズンまで続くんでしょう?ファンクラブ会長として、全ての関連グッズをコンプリートするからねー」

そう言って、沈黙を破った護は、リビングの大画面テレビにDenizとFSFのCMファーストシーズンを映し出し、どれだけmirayが魅力的か語った。

テーブルには関連グッズを広げている。

思ったよりも歓迎されていない訳ではなかったことに安堵し、この奇妙な空間に、波留斗は馴染み始めていた。
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