行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
結局、護がさくらを呼び出した理由はよくわからなかった。

さくらがmirayとして活躍していることも、西園寺さくらであることを隠していることも咎めているわけではなく、むしろファンクラブ会長として応援している・・・ことを前面に出してきたという結果に終わった。

残り半年余りだが、護は父としてさくらの味方であり、全面的に応援していることを示すことで安心させたかったのかもしれない。

「波留斗、残りの3シーズンも心してさくらを、いやmirayを守るように。頼んだぞ」

食事と歓談を終えて、二人を見送る護は、波留斗の肩を叩いて言った。

「いつまでもmirayの出自を隠しておけるはずもあるまい。その時に君がどうやってさくらを守り、自分の野望を叶えるように動くのか、とくと観察しておくから忘れないように」

「そうねぇ、あなたの周りには野望の塊のような人もウジャウジャいそうだし、トンビに油揚げをさらわれないように気を付けなさいな」

薫子の妖艶な笑みが黒い笑みに変わっている。

「お母様」

さくらはまたも薫子を目力で嗜める。

波留斗にはこの美しい母娘の関係性はいまいちわからないが、薫子に試されていることだけはわかる。

「誰にも渡しませんよ」

「告白もされてないのにどんな展開だっつーの」

破顔したさくらはいつになく幼くて、抱き締めたいほど可愛らしかった。

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