行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?

ライバル

「兄さん・・・」

「副社長」

波留斗もさくらも表情一つ変えずに悠紀斗を見つめた。

「波留斗が可愛い小鳥を、わが社の所有する秘密の鳥かごに大事に大事に囲い混んでると聞いてさ、ちょっと確認してみようと思ったけど本当だったんだね」

「別に隠していた訳ではありませんよ。副社長が興味がなかっただけでは?」

そう首を傾げるさくらに、悠紀斗はニヤリと笑って

「家族で僕だけが知らないなんて可笑しくない?波留斗は昔から、大事なものは僕の見えないところに仕舞いこもうとするんだ」

そう言って、悠紀斗は波留斗に目をやった。

「二人は同じフロアだってね。付き合ってるの?」

「波留斗は公私混同はしませ・・・」

「ああ、付き合ってる。ご両親も公認だ」

さくらが否定しようとするのに被せるように波留斗が口を挟んだ。

「ご両親・・・?ああ、西園寺家まで挨拶に行ったんだ」

悠紀斗は面白そうに笑うと、さくらに近づいた。

「私も是非、ご両親に会わせて下さい。西園寺さくらさん」

「ご存知だったんですね」

「ええ、このご時世、少し調べれば簡単に個人情報もゲットできます。マスコミもあなたの素性は押さえているようですが、南條の方でもイメージモデルの個人情報漏洩は制限しておりますのでご心配なく」

さくらに近寄り、波留斗との間に割って入ろうとする悠紀斗は、やはりさくらを手に入れようと画策し始めたようにも見える。

「そんなに睨むなよ、波留斗。パートナーを選ぶ権利があるのはさくらさんだろ?」

「mirayの相棒は波留斗です。ご心配は無用ですよ、副社長。・・・じゃあ、行こうか、波留斗」

波留斗の腕を掴み、微笑んで歩き出すさくらに頷く波留斗。

「兄さん、おやすみ」

「ああ、またな」

悠紀斗は、肩を竦めて二人を見送った。

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