星に乗って
「あたしはねえ、こいつにむかついてんの。
いつもいつもおどおどしていて、そのくせ言うことは生意気で腐ってんの。
だからこいつは死んだ方がマシ」
大嫌いな正義感を振りかざす。
「でも、話を聞いてあげたら?
この子にはこの子なりの事情があるのかもしれない。
だから、暴力で押さえつけるのは、やめ……」
「あんたさあ、あたしに喧嘩売ってんの?
そんなにいじめをやめて欲しいなら、あんたが代われば?」
きた!待ち望んでいたその言葉。
でも、決していじめられるのが好きなわけではない。
いちばん簡単に心を壊せそうだから。
いじめられている子に優しさを見せつけようとか、ヒーローになってやろうなんて考えは少しもない。
「いいよ、代わってあげる」
「……ふうん。神崎さん、だっけ。
すごい度胸だね。
……決定!今日からこいつをやる!」
周りにいる、女子も、男子も、全て、この小さな箱の中で敵であり、「協力者」になった。