星に乗って
わたしの話なんて聞こうともせずに進んでいく。
数学とはこうだとか答えを見ることは自分の力にならないとか、挙句の果てには内申が欲しくてやってしまったんだな、とか言ってひとりで満足していた。
じわりと手のひらに汗が滲んでくる。
なんで、わたしが唯一誰にも負けたくないものをここまで言われなきゃならないの。
カスみたいなやつの分際に言われたくない、勉強を語られたくない。
その一方で冷静に、ああなるほどね、と納得しているわたしもいた。
こうやって、いじめられる人の心は壊されていくんだ。
少しだけ人に誇れるような何かでさえ、容赦なく奪っていく。
実際、わたしの心も例に漏れず、早くも崩れようとしていた。
嬉しくもあった。
こんなもの、さっさと壊れてしまえ!
指でカツン、と弾いただけで壊れてしまうような心になりたかった。
「だからな、神崎。
もう答えを見て解くような真似はするなよ?」