星に乗って
「……分かりません」
「何が分からないのか?
今の問題か?」
「今の問題なんて問題外です」
そう言った直後、先生の顔が歪んだ。
こういう顔が大好きなわたしはきっとすごく性格が悪い。
「先生は、わたしの話も聞かずに勝手に話を進めました。
それなのに、どうしてわたしの気持ちを全て知った口をきけるんですか?
生徒のことはよく分かっているとかいう、あの都合の良い言葉を言うつもりですか?
わたし、あの言葉が一番嫌いなんです。
事実を確かめることをしない、ろくな大人にはなりたくないんです」
話している間も、先生の表情は面白いように変化していた。
耳まで真っ赤になった顔、青ざめた顔、血の気の引いた顔。
「……神崎っ!」
「合っていますか?」
「……神崎は、人のことを馬鹿にしているのか?
ろくな大人になれないぞ」
ふと、周りを見渡すと、佐野さんが怒りに震えて何かを見据えていた。
大好きな先生を冒涜されたから?