星に乗って
その時、チャイムが鳴り、教科書をひったくるように取って先生は教室を出て行った。
いつもはすぐに騒ぐ男子も、突然のことに、どうすればいいか分からないという表情を浮かべている。
佐野さんが動いた。
みんなが動向を伺う。
突進してきて、わたしの胸ぐらを掴む。
「あんた、何がしたいの?
ゆうすけクン、泣きそうだったんだよ!
ふざけんな、あんたなんか死ねよ!」
その時、唐突に気が付いてしまった。
佐野さん、あの数学の先生が好きなんだ。
次の瞬間、わたしは殴られていた。
それも、遠慮なく頬を。
よろけた隙に、佐野さんが馬乗りになってお腹を執拗に殴り続ける。
人垣で、誰にも助けを求められないようになっていた。
助けを求めるつもりなんてないのに。
人垣のいちばんいい所に、少し前までいじめられていた中村さんがいた。
笑って、「もっとやんなきゃ!」なんて言っている。