星に乗って




お門違いだけれども、誰のおかげよって思った。



でも、この痛みですら気持ちいい。



もう、二度と戻れないように堕ちるところまで堕ちてしまいたい。



わたしは、もうこれ以上こんな世界にいたくない。



「なんとか言ったらどうなの!」



その後に、今度は平手打ちが飛んでくる。



意識が飛びそうなくらいに、強い。



何かの本に「恋に溺れてしまった人はお終いよ」っていうセリフがあったけれど、きっと佐野さんのことを言っているのかもしれない。



「……わたしに、なんの恨みがあるの?」



わたしだって「なんでやり返さないの?」って聞かれたら困るくせに卑怯だ。



暴力の手が、時間を止めたようになる。



「……答え、られないん、だね」



思ったよりも喋りづらい。



もう歯が欠けていてもおかしくないくらいに殴られているし、頬だって腫れ上がっているだろう。



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