世界はエリカ様のお望み通り





奥田さんが人目につかないように裏の出口から出てくれたおかげで泣き顔を誰かに見られることは無かった。







何故知ってるのか聞くと奥田さんの妹がここの在校生なのだと。






妹さんがいたのね。






「そろそろ泣き止みましたか?」






まだ2回しか会ったことが無いのにお姫様抱っこまでされて、しかもあんなダサい姿を見せた上に泣き顔まで晒してしまって、急に恥ずかしさがこみ上げてきた。






「べ、別に悲しくて泣いたわけじゃないから別に平気です」





「無理しなくていいのに」






「無理してませんし、エリカはただ望み通りにならないから悔しかっただけよ!」






「そうなのかぁ」






そう言って奥田さんは目を細めてくすくす笑った。







「なっ嘘だと思ってるんでしょ。別にあんな男こちらから願い下げよ。エリカに惚れないなんて頭おかしいのよ」







そう自分で言ってつきんと胸が傷んだ。






先輩の声が耳に谺響する。
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