枯れた涙にさようなら。
「次、福山雅治入れたの誰〜?」
お喋りに夢中になったり、熱唱したり、茶化したり、周りはとても楽しそう。私も何曲か歌ったけど、みんなと選曲のベクトルが違うようだったので、今は若干遠慮気味にしている。
「隣いい?」
そう上から降ってきた言葉に顔を上げると、天満くんだった。
「トイレ行ってる間に席なくなっちゃったみたいでさ」
先ほどまで天満くんがいた席の方を見ると、確かに他の人が座ってしまったみたいだった。
「全然問題ないよ、どうぞ」
少し左に寄って、天満くんが座れるスペースを作る。机との距離が狭くて座るのが難しそうだった。
コトッと音がしたのは天満くんが飲み物を机に置いたから。
「これ何?」
「ん、これ?レモンスカッシュだよ。美味しいしオススメ」
「へぇ〜」
レモンスカッシュ…飲んだことないなぁ。まぁ元々カラオケとか外でジュースを飲むことがないんだけど。
オシャレな天満くんは、飲むジュースもオシャレでいかしますな。
「飲んでみる?まだ口つけてないけど」
「えっ、、?!」
いや、いやいやいやいや…
「後で自分でついで飲んでみるよ」
と断りを入れると、そっかとあっさり天満くんはゴクゴクとそれを飲んだ。
結構天満くんって天然なのかな…私今絶対顔赤い。こういう状況慣れてないのがバレそうだなぁと考えながら、私はハタハタと手で顔を仰いだ。