枯れた涙にさようなら。
「え〜じゃあ恋バナしよっ!アタシかすみっちの恋愛知りたいっす!」
隣の俺の存在を知ってか知らずか、尾形さんはそう言い出した。丸聞こえだけど良いのだろうか…?
「私も知りたいかも」
近くにいた竹中さんも同調する。
聞こえないふり聞こえないふり、と念じながら机に置いていたレモンスカッシュを飲む。
「好きな人とかいないの?あっ、でも意外と綺麗だから彼氏とかいたりして」
いや、意外とって余計だろ。常識あるように見えて案外失礼なことを言っちゃうのね、竹中さん。
素直に可愛いと思うけどな、俺は。
ちらっと横を盗み見たけれど、少し目線を伏せていた坪井さんの表情は、彼女の前髪で見えなかった。
「いないよ。…失恋をずっと引きずってるの…だから、、あんまり話したくないかな?あはは……」
それよりみんなの聞かせてほしいな、とすぐに聞き手に回っていた。
なんとなく、坪井さんがさっきどんな表情をしていたのかが分かった。