枯れた涙にさようなら。


二人に、別れて欲しいなんて思ったことはなかった。あの人に、俺を選んで欲しいなんて贅沢な願いを持つことだって、しようとしていなかった。

ただ、一度でいいから俺のことを見て欲しかった。

兄貴のことじゃなくて俺のことしか考えていない時間が、一秒でもいいからあってほしかった。瞬きをする一瞬でさえと、俺は願った。

けれど俺が好きな素敵な彼女の目にはいつも、どこか兄貴が映ってるように見えた。

< 17 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop