枯れた涙にさようなら。
面倒くさいとか思わないのかな?とは思いつつ、私のために毎日毎日飽きずにそういうことを言ってくれるお姉ちゃんを見て、私大切にされてるな、って。
「ありがと」
「んっ」
ズズズズズっと茶碗を傾けて飲み終わると、お姉ちゃんは食器をシンクに持ってきた。
「じゃあ、かすみ。私、今日さきちゃんと食べて帰るから…」
「お夕飯要らないの?今日すきやきにしようって言ってたのに…」
「えぇ〜明日!明日にして!ね?」
両手を合わせて酷く懇願してくるので、二言返事で了解してしまう。食いっ気たっぷりな姉を持ったものだ、人のこと言えないけど。
「じゃあすき焼きは明日。お母さんにも伝えておくね」
「ありがとう!!流石できた妹!」
お鍋を見ていた私の背中からお姉ちゃんはぎゅ〜っと抱きついてきた。
「調子よすぎ…」
なんて口には出しながら、顔はきっと緩んでる。
「かすみちゃん照れちゃって、可愛いんだから…もー好きっ」
「も〜お姉ちゃん!からかうのもいい加減してよね!電車乗り遅れても知らないから!」
「えっもうそんな時間?ごめんごめん」
お姉ちゃんがこんなのだから、私たちは今でもご近所では仲が良いと評判の姉妹なのだ。
バタバタと騒いでいる姉を横目で見ながら、私は朝食の準備をした。
『いってきまーす!!』
いつものように、玄関から元気な声が聞こえる。外ではあまり出さないけれど、私も聞こえるように少し大きな声を出す。
「いってらっしゃい!」
ズズズッとお味噌汁を飲めば、うん、今日も美味しい。