枯れた涙にさようなら。
「天満くん!」
そう名前を呼ばれたので反射的に後ろを振り向く。と、後ろから早足で近寄ってきたのは今朝もメールでやりとりをした坪井さんだった。
「どうしたの?」
「ごめん、さっきの話、聞こえちゃって」
さっき、というと、ぼっち飯・とか、友達がいない・とか………?
聞かれたくないことを聞かれてしまったものだ。
「いや、あれは友達が勝手に言ってただけであって別に」
「あ、いや、そういうことじゃなくて!」
「え、そうなの?」
慌てて誤解を解こうとしたけれど、坪井さんは俺のことを哀れに思って声をかけてくれたわけではないみたいだ。
「あのね、わたしもいつも一緒にお昼食べてる子が部活で呼び出しされてて…」
確か、矢口美奈さん…だっけ。
「それで、天満くんも……もしも!もしも、今のところ食べる人がいないなら、あの…ほら、メールのこととか…色々直接話したいし、その…」
坪井さんは何やら奥歯にものが挟まっているかのように俺に話す。
なるほど…
「お昼一緒する?」
中々口から結論が出てこない坪井さんの代わりに、坪井さんが言いたそうなことを俺が言った。
その言葉を聞いた坪井さんは少しの間ぽかんとしていたけれど、すぐに微笑んで、うん・と答えてくれた。
「教室だとなんだし、屋上はどうかな?今日暖かいし」
「うん、いいよ」
一緒に食べる場所の提案をしてくれ、特に断る理由もないし他に候補があるわけでもないので素直に応じる。
「あ、じゃあ俺トイレ寄って行くから…」
なんだか少し恥ずかしいな・と思いつつ、授業中に我慢できなくなってしまったら困るので一旦話は終わろう。
「あ、そっかごめんね引き止めちゃって」
「いや、いいよ。まだ時間はギリギリあるし」
「じゃあまた後で」