枯れた涙にさようなら。
8=連絡先
4時間目が終わり、教室のドア付近まで行き部活の集まりに向かう美奈ちゃんを、手を振って送り出した。
天満くんの方を向くと、ちょうど向こうもこちらを見ていたようでばったりと目が合う。手に持っている教科書を揺らして、廊下に設置されているロッカーに収める旨を伝えた。ほとんどの人が教科書等をロッカーに入れているので、恐らく私が言いたいことは伝わっただろう。
「かすみ〜〜」
ついでにロッカーに入れていたお弁当も取り出していたところで、聞き覚えのある声がした。
声が聞こえた方を向くと、少し離れたところから私の幼馴染、田所喜一が向かってきていた。
「きいちゃん、どうしたの?」
クラスも違うし、教室がある階も違うため、あまり馴染まない光景で不思議な感じがする。きいちゃんが近くに来たところで話しかける。
「ああ、それが…」
「話し中ごめん。先、屋上行っとくよ?」
そんな中、後ろから肩をトントンと叩かれたので、振り向くと天満くんが気を利かせて言ってくれたみたいだった。
「あっうん、ごめんね。すぐに行くから」
私が誘ったばっかりに、故意でないにしろ天満くんを待たせてしまうことへの申し訳なさがつのる。
「はは、焦らずおいで。待ってるから」
そんな私をよそに、天満くんは笑顔で優しい言葉を投げかけてくれた。
「…ありがと」