枯れた涙にさようなら。
天満くんと手を振りあって、きいちゃんの方へ向き直す。
「ごめんね?お昼約束してて…もしかして急ぎ?」
きいちゃんの話がどんなものでどのくらいかかるかは分からないけど、天満くんと話す時間も必要だし早めに切り上げなくちゃな。
「いや、、、あれ誰??」
遠くの方を見ながら聞いてきたきいちゃんは、恐らくもう歩き出していた天満くんを見ているのだろう。
眉を少しひそめてそんなに気になっているのだろうか。
「ん?あ、同じクラスの天満くん。最近仲良くなったんだ」
「ふーん…」
「で、どうしたの?後ろでお友達も待ってるよ?」
ちらちらときいちゃんの背中から顔を出すお友達らしき人は、少しそわそわしているみたいだった。
急いでるんじゃないのかな…?
「あ、いや。こいつがかすみに用事」
「わたしに?」
どんな用事だろう?
失礼ながらわたしの記憶では話したこととか絡んだことはないはずだし、そもそも顔を見ても名前も思い浮かばない。
そんな人からどんな話をされるのか、当然のように想像もできないや…
「ほら、これくらい自分で言えよ」
「でも…!!」
「大丈夫だって」
「???」
「えっと……き、、いや、田所くんの…友人の関谷鉄平って言います…」
「あぁ、関谷くん」
「な、名前…」
「き…あ、田所くんに前聞いたことあって。」
流石に人前できいちゃん呼びは恥ずかしかったので、うっかり呼びそうにはなったけれどなんとか控えた。
「坪井かすみです」
「あっ、お世話になってます」
長座体前屈してるの?ってくらいに頭を下げる関谷くん。最早お辞儀かどうかも怪しいけど…つられて深々とお辞儀する。
「それで…あ、あの…その、つ、坪井さんと仲良くなりたいので…連絡先とか教えてもらってもいいですか!!」
「え、、!?」
ちらっと顔を上げて私を見ると思ったら、想像もしてなかった言葉に驚いた。
「む、無理にとかじゃないですから!」
連絡先……
「あの…私LINEとかしてないのでメールとかになっちゃうんですけど…」
別に、私の連絡先なんてきいちゃんのお友達に対して惜しむものでもない。それに、きいちゃんも一緒について来てるってことは、きいちゃん自身この関谷くんになら私の連絡先教えても問題ないって判断してるわけですし…そこまで信頼されてる人なんだから大丈夫でしょう。
「いいです!!メールがいいです!!いいんですか!?」
「は、はい…田所くんに教えてもらってください。」
そんなに喜んでもらえるほどのものでないはずなのに…ここまで喜んでもらえると悪い気はしない。でも、どうして私の連絡先欲しかったんだろう?
「お願いできる?」
「ん、まかせろ」
きいちゃんも想定内だったようで、特に何も思ってないようだ。
「な?大丈夫だったろ?」
「う、うん……」
見た様子では要件はもう終わったみたいなので、あとはきいちゃんに任せることにしよう。
「じゃあ、私天満くん待たせてるから」
「おぅ、悪かったな時間取って」
「ううん、大丈夫。では関谷くんも」
「は、はい!!ありがとうございました!」
そう言って別れた後、私は屋上に向かった。