枯れた涙にさようなら。


「だ~か~ら!メアド教えて欲しいの!!喜一が一番聞きやすいんだもん~!本人に自分からなんて無理だし!!」

先にあいつのクラスの男子に聞いておいて何が俺が一番聞きやすいだ。

「そもそもなんでかすみなんだ?お前のタイプじゃなくないか?」

知り合ってしばらくしたくらいに、哲平はグラビアアイドルとかによくいるグラマーボディに目が大きめの所謂美人系がタイプだと言っていた気がする。

「こないだ体育の着替え行くの遅くてお前らに置いていかれた時あったじゃん?」

あぁ、先生に日直だからって雑用押し付けられたやつか。

「そん時にさ、恥ずかしいことに俺渡り廊下でこけちゃって。で、ちょうどそこに坪井さんがいて、俺に絆創膏貼ってくれたんだよね~!」
「あ、あの時貼ってたうさぎの絆創膏、見覚えがあると思ったらかすみのだったのか」

かすみは昔から日頃、そういう使えるものを持っているからな。ティッシュやハンカチなんて当たり前で、通学カバンやロッカーにはソーイングセットや爪切りもあると言っていた。

「渡り廊下でこけるとかお前もうちょっと気をつけたらどうなんだ」
「うるさいやい津山っ!!プリントとか資料いっぱい持ってたの!!」

つい前だけ見ちゃうもんな。視界が悪い時は足元も気をつけましょう。

「まぁ、そういうちょっとしたことだったんだけど良い子だなって思って!」
「ギャル好きじゃなかったのか」

津山にはそういう風に見えてたのか。

「家庭的な子が好きなんだって!ギャルだとそのギャップでより惹かれちゃうというか…」

家庭的、という言葉。よく考えると、俺の周りにかすみ以上にそれが似合う人なんていないかもしれないな。

「ていうか、結構坪井さんって評判だよ?好意持ってる男子って多いはずだし、そろそろ告白とかあってもおかしくないでしょ。幼馴染なのにそういうの知らないの?」

は?!告白だと?!

「……あ、…それは知らなかった…最近かすみとは会えてすらいないからな…」

驚きが隠せずにうまく声が出なかった。会っていない間にそんなことになっていようとは…

「幼馴染なんかにそもそもそういうこと相談しないだろ。仲良いとか知られたら色々と誤解されそうだし」
「そうなのか?!」

誤解#とは?

「男子は男子でお前はライバル視される的だからな」
「あ~そっか、阻止されたりしたらたまったもんじゃないもんね」

そういうもんなの?!
高校って…
高校生って……

こえぇ…

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