もうひとりの極上御曹司
「千春以外に誰がいるんだ。いいから、じっとしてろ」
「……で、でも」
愼哉の唇が、千春の首筋に触れ、彼女の体が大きく震えた。
震えとともに千春の口から甘い吐息が漏れる。
愼哉は嬉し気に目を細めると、大きな手で彼女のうなじを優しく刺激する。
「しんや、さん……」
「本当なら、お前が高校を卒業したと同時に結婚するつもりだったんだ」
絞り出すような愼哉の声が部屋に響く。
「えっと、訳が分からない……」
愼哉の言葉が聞き間違いでなければいいと、千春は泣きそうになる。
結婚なんて、自分にはまだまだ遠いもの。
ましてや愼哉がその相手だとは、願うことすら身の程知らずだとあきらめていた。
そんな千春の思いをわかっているかのように、愼哉は艶やかに笑い、唇を重ねた。
「……っふ」
千春の漏らした甘い声が愼哉を刺激し、更に強く唇が押し付けられた。
そのまま千春はソファに押さえつけられ、身動きが取れなくなる。
なにが起こったのかわからないまま、千春の体から力が抜けていく。
愼哉の重みが心地よく、気付けば千春からもキスに応え始めた。
生まれて初めてのキスだというのに、愼哉の舌に誘われるように口を開き、そのまま受け入れた。