心に一滴の雫を。
人に言うような面白い力ではないから使うときまで明かす必要はない気がする。

一応例を挙げるなら、母は『飛ぶこと』に特化していた。

元々私達もほんの少しだけ浮くことはできるのだけれど。

彼女は比べものにならないほどに『飛ぶ』ことができる。

詳しく言うと、雲の近くで華麗な舞を披露してくれるぐらい。

力が遺伝によるものだったら私も一緒にできたのになぁ、といつも思っていた。

しかしそんな母とはここに来たことにより、もう会えない。
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