心に一滴の雫を。
突然、名前も聞いていない彼に両肩を掴まれる。

そして私の首筋へ口元が寄せられた。

人間には絶対にない牙を覗かせて。

ここまでされては次に何をするのかぐらい、同じ種族として…わかってしまう。

講堂で彼が言っていた『喉が渇いた』とは、そういう意味だ。

「…痛いのには慣れてないのでお手柔らかにお願いします」

多分聞こえていないだろうと思いながらも一応そう言っておく。

今まで母としか吸血するorされたことはなかったので本当にどれくらいのものか想像がつかない。
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