心に一滴の雫を。
「えっ…?!」

ガクリ、と私の身体が傾いたことで我に返ったように彼は声を出す。

しかし気づくのが少し、遅かった。

二人同時に足が地面から離れて代わりに自分は尻餅をつく。

「………っ!!」

そして、彼は。

地面に両手両膝をついて、その間にいるこちらを見下ろす体勢になっていた。

地面についたときの衝撃も気にならなくなるくらい、彼の顔が間近に迫る。
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